滅菌・殺菌・消毒・除菌 |
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よく似たようなこれらの言葉。TVショッピングや週刊誌、ニュース、新聞、そして 歯科医院のウェブサイト。 さまざまな媒体で目にし、耳にしていて、一見よく似た言葉ですが、 それぞれの言葉が医学的に意味するところは、厳密に言うと全く異なります。 滅菌:すべての微生物を殺滅あるいは、完全に除去し無菌状態とすること。 殺菌:微生物を殺すこと。「すべて」「完全に」であるかどうかは問われない。 消毒:有害な微生物を殺滅すること。 除菌:洗剤で洗ったり拭いたりして、細菌を洗い落とすこと。 治療器具を介しての、来院者から来院者への感染を防ぐためには、 治療に用いられる器具・機材には適切な滅菌もしくは消毒が必要です。 |
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スタンダードプリコーションという考え方 |
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少々こみいった概念です。 歯科医療関係者でも皆がみな、充分に理解できているかというと、 少々疑問符が付きますが、大切な概念です。 いままでは、そしていまでも、多くの歯科医院では、感染症のある方の治療に使用した器具は そうでない方に使用した器具とは別工程で、専用の薬液を使用して滅菌を行っています。 これは、院内感染を防ぐ観点から大切なことといえたのですが、いまではこれでは不充分であろうといわれています。 つまり、感染症の「申告」の有無にかかわらず、すべての治療に使用した器具は感染症を引き起こす可能性があるとみなして滅菌すべきである、という考えです。 それは、数年前に大きく報じられたような薬害の場合のように、自分の知らないうちに感染を受けているなどして、 すべての来院者が自分の感染の有無をかならずしも知っているわけでもないことがひとつの理由。 また、一般に来院患者は自分の感染症罹患状況を医師に比べて歯科医師には告知しない傾向があるとの調査結果があるように、 知っていても告知するかどうかはその方ご自身の判断にゆだねざるを得ないからだ、というのも理由です。 つまり、「感染症の有無で滅菌方法を区別せず」「ヒト由来の体液はすべて感染性があるものとして取り扱う」という考え方が、 ことがスタンダードプリコーションの根底にあります。 医療を行う中で、感染症を伝播させてはならない。 器具の滅菌操作は、この考えから始めないといけないと思います。 |
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日本の歯科医院における滅菌の実態 |
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下の図は、平成13・14年度 静岡県立大学短期大学部 特別研究報告書 で、 静岡県立大学短期大学部歯科衛生学科助手 嶋らが発表した論文 (原著:http://bambi.u-shizuoka-ken.ac.jp/tk/0102tk/0102_32.pdf) の数値を引用して、つくったものです。 ![]() この表が客観的にあらわしていることは、大多数の歯科医院では、スタンダードプリコーションの概念は 理解されていない、もしくは理解していても導入はされていない、ということです。 歯科治療器具のうち、もっとも使う頻度が高いのは基本セットと呼ばれる器具類でしょう。 基本セットとは、医院ごとに差異はあるでしょうが、たいていの場合「歯科用ミラー・ピンセット・探針」をさします。 この調査からは基本セットの滅菌具合はわかりませんが、おそらく100%近くの医院では最低これらは 何らかの滅菌操作がなされているものと思われます。 ですが、この調査結果から、歯の切削器具を滅菌している医院が少ないことは 明らかです。切削器具は直接唾液や血液、切削粉塵を浴びているので、汚染の頻度は高いはずですが、 その意識はまだ低いのかもしれません。 また、手袋をひとりひとり交換している比率が少ないことも、驚かれることかもしれません。 手袋をほとんど交換しない、ということは、患者→医療従事者への感染は防げますが 医療従事者を介した患者間の感染経路は防ぐことができません。 滅菌や手袋の交換は確かにコストがかかることですし、現在の医療に対する給付が充分にそれをカバーしているとは言いがたいのも 事実かとおもいますが、コストだとか面倒だとか言うことを理由になおざりにしていいことではないと思います。 当院では、すべての器具はスタンダードプリコーションにのっとった滅菌もしくは使い捨て器具の使用によって、 最大限の感染対策を行っています。 |
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当院での感染対策 |
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個室診療室 |
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当院の診察室はすべて個室となっています。 その理由のひとつはプライバシーの保護です。誰しも、疾患・治療というきわめて個人的な内容を 誰かに聞かれたくはないものでしょう。 そして、もうひとつも理由は、感染予防です。 多くの歯科治療行為において、「歯を削る」行為は避けることができません。 歯を削る際には、冷却や洗浄もかねて多くのスプレー水が噴霧されます。 歯を削るときには、当然歯や金属を削片である微粒子のほか、血液や唾液、 そして血液・唾液中に含まれるウイルスや細菌などの微生物も同時に飛散します。 先にも述べましたように、「ヒト由来の体液はすべて感染性があるものとして取り扱う」ことが スタンダードプリコーションの基本です。 感染物質とみなされるさまざまな粉塵は、数メートル四方にまで到達する、ともされており、 よく見かける、ただの衝立だけでは切削粉塵・飛沫による院内感染の予防には不充分と考えられます。 当院では、吸引力の強い口腔内のバキュームを使用して、粉塵の飛散を最小限に抑えつつ、さらに個室とすることで ほかの診療チェアーで発生する粉塵からの感染のリスクを回避しています。 |
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動線分離 |
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病院・医院・診療所は患者が診断や治療を受けに来るところです。 院内はすべてが清潔区域であることが理想ですが、現実的には、病院には必ず汚染源・感染源があるのですべてを一律に管理することはできません。 そのため、一般的な病院の設備管理上では、手術室やNICUのような高度な清潔区域から一般の待合室まで、院内をゾーニング(区域分け)されて清潔度を管理しています。 同じように、歯科医院でも、診察室や待合室と機器の洗浄処理を行うスペース、そして滅菌した機器を保管する区域は分離して管理されるべきだと、私たちは考えています。 このため、当院では、診療で使用した機器・器具を扱う非清潔区域と診療室・待合いである清潔区域を分離した上で、 治療に使用した汚染医療機器や廃棄物などが 洗浄室や滅菌室に搬入される際に、清潔区域を通過しないように清潔動線と非清潔動線を分離しています。 来院者の方々は、待合から診察室に入るまでの間に、ほかの方の診療によって出た汚染物質にさらされることもなければ 歯科治療用の機材・機器を不必要に目にすることもありません。 |
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滅菌室 |
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上記のように、汚染医療機器や廃棄物を処理するスペースは、清潔区域とは区別されているべきです。 それは、器具の洗浄・滅菌を行うと言う性格上、 そこは汚染物質を扱う場であり、粉塵・微生物・臭気を発生するところなので、そういったものの拡散を防止しなくてはならないからです。 そういう観点から、歯科医院においても「専用の滅菌室」が必要である、と私たちは考えています。 |
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当院での消毒方法 |
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前述のスタンダードプリコーションの原則に則って考えてゆくと、
器具の消毒水準と消毒方法は、「どのような感染症例に使用した器具であるか」ではなく、
「どのような用途に再使用する器具であるか」を基準として決定するのが基本となります。
しよう用途で消毒方法を変える、ということをまとめると以下のようになります。(Spauldingによる器具分類)
このような原則を踏まえて、当院では以下ような対策を行っています。
滅菌手順 1・水洗 2・超音波洗浄 3・滅菌用パック包装 4・滅菌(高圧蒸気滅菌) 治療用ハンドピースも滅菌しています。 機械内部を専用の洗浄器を使ってオイルで洗い流したのち、 ハンドピース用の高圧蒸気滅菌気で滅菌しています。 |