【の】残っている骨が少ないとインプラントはできない?|骨造成をわかりやすく解説|吉備路歯科医院|岡山県総社市の歯医者

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【の】残っている骨が少ないとインプラントはできない?|骨造成をわかりやすく解説

「骨が少ないのでインプラントは難しいと言われた」

このような経験がある方でも、必ずしもインプラント治療が不可能とは限りません。

インプラントを適切な位置に埋入するためには、周囲に十分な骨が必要です。しかし、骨の不足している場所や程度によっては、GBRやソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成によって治療できる可能性があります。

一方で、骨造成はすべての方に行えばよい治療でもありません。

重要なのは、
「骨が少ないから骨を足す」のではなく、最終的な歯の位置から逆算して、どの位置にどの程度の骨が必要なのかを診断すること
です。

当院ではCTなどを用いて骨の量や周囲の解剖学的構造を確認し、骨造成を行う方法だけでなく、骨造成を行わない方法やインプラント以外の選択肢も含めて検討します。


この記事は次のような方におすすめです

  • 「骨が少ないからインプラントはできない」と言われた

  • 抜歯してから長期間経っている

  • 上顎の奥歯にインプラントを考えている

  • GBR・ソケットリフト・サイナスリフトの違いを知りたい

  • 骨造成の手術が必要と言われ、不安を感じている

  • できるだけ大きな手術を避けたい

  • セカンドオピニオンを検討している


結論:骨が少なくてもインプラント治療ができる場合があります

骨が少ない=インプラントができない、ではありません。

ただし、治療方法は次のような要素によって変わります。

  • どこに骨が足りないのか(骨の幅が足りないのか、高さが足りないのか)

  • どの程度不足しているのか

  • インプラントをどこに埋入する必要があるのか

  • 全身状態や治癒能力

  • 手術による負担

そして、もう一つ大切な点があります。
「骨造成が技術的に可能であること」と「その患者さんに骨造成を行うべきであること」は、別問題だということです。

この違いを理解したうえで治療方針を決めることが、後悔しない治療選択の第一歩になります。


目次

  1. なぜインプラントには十分な骨が必要なのか

  2. なぜ顎の骨は少なくなるのか

  3. 骨の幅が足りない場合に行う「GBR」

  4. 上顎の奥歯で骨が少ない場合(ソケットリフト)

  5. サイナスリフトとは

  6. GBR・ソケットリフト・サイナスリフトの違い

  7. 骨造成をすれば誰でもインプラントができるわけではありません

  8. あえて骨造成をしない選択肢もあります

  9. 骨が少ないと言われたときこそCT診断が重要

  10. 吉備路歯科医院のインプラント診断

  11. 他院で「骨が少ないから難しい」と言われた場合もご相談ください

  12. Q&A・よくある質問

  13. まとめ


なぜインプラントには十分な骨が必要なのか

インプラントは顎の骨に支えられる治療

天然歯は、歯根が歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨に埋まって支えられています。インプラントは、人工の歯根(インプラント体)を顎の骨の中に埋入して歯を支える治療です。

そのため、インプラント体を単に骨の中に入れられればよいのではなく、次のことが求められます。

  • 適切な長さ・直径のインプラントを選択できる

  • インプラント周囲に必要な骨を確保する

  • 長期的に安定しやすい位置に埋入する

骨が十分にないと、短く細いインプラントしか使えなかったり、支えが弱くなって長期的な安定が得られにくくなったりする可能性があります。

「骨がある場所に入れる」のではなく「歯が必要な場所から逆算する」

かつては、
骨があるところを探す → そこにインプラントを入れる → インプラントの上に歯を作る
という順番で計画されることもありました。
しかし、骨が残っている場所に合わせて歯の位置を決めてしまうと、噛み合わせや見た目が犠牲になることがあります。

本来、望ましいのは、
最終的な歯の位置 → 歯を支えるために理想的なインプラント位置 → その位置に必要な骨を確認する
という、最終的な歯の位置から逆算する治療計画(補綴主導型の治療計画)です。

当院では、CTと口腔内スキャン(IOS)の3Dデータを統合して埋入位置を決定し、必要であればサージカルガイド(手術を支援するテンプレート)を用いて計画通りの位置に埋入しています。

▶流れの詳細は【な】何を調べる?インプラントの精密診断|CTだけではわからないことをご覧ください


なぜ顎の骨は少なくなるのか

歯を抜いたあと、骨は少しずつ痩せていく

抜歯後には歯槽骨のリモデリング(改築)が起こり、特に頬舌的な幅(横幅)が減少します。

そのため、「昔歯を抜いた場所だから骨が残っているはず」とは限りません。抜歯から時間が経つほど、骨量が不足している場合があります。

歯周病によって骨が失われている

抜歯以前から歯周病が進行していた場合には、顎の骨が大きく失われていることがあります。

炎症や根尖病変などで骨が失われている

慢性的な炎症や感染(根尖病変など)によって、歯の周りの骨が失われているケースもあります。

上顎洞が拡大して骨の高さが不足する

上顎の奥歯では、特有の問題があります。歯を失った後には、

  • 歯槽骨の吸収

  • 上顎洞側からの空洞拡大

の両方によって、インプラントを支える骨の高さが不足する場合があります。

この対策として検討されるのが、後述するソケットリフト・サイナスリフトです。


骨の幅が足りない場合に行う「GBR」

GBRとは

GBR(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)は、骨が不足している部分に、

  • 骨補填材(こつほてんざい:骨を増やすための材料)

  • 必要に応じて自家骨(自分の骨)

  • メンブレン(膜)

などを使用して、骨を再生・造成する方法です。

難しい生物学的な説明よりも、シンプルに言えば
「インプラントを適切な位置に入れるために、不足している部分の骨を増やす治療」
です。

インプラントと同時に行う場合

骨不足が比較的小さい場合などには、インプラント埋入とGBRを同時に行える場合があります。

先に骨を作る場合

骨不足が大きい場合には、

GBR → 治癒 → インプラント埋入

という二段階になることがあります。この場合、治療期間が長くなる可能性があります。


上顎の奥歯で骨が少ない場合

ソケットリフトとは

インプラントを埋入する穴の側から、上顎洞の底を持ち上げる方法です。

特徴は次のとおりです。

  • 比較的骨が残っているケースで検討しやすい

  • インプラント埋入と同時に行うことが多い

  • サイナスリフトと比較すると、手術範囲を小さくできる場合がある

なお、「残存骨量が○mmなら必ずソケットリフト」と断定することはできません。適応はCT所見や治療計画を総合して判断します。


サイナスリフトとは

上顎洞の横から骨を増やす方法

上顎洞の側方(横側)からアプローチし、上顎洞の粘膜を挙上(持ち上げ)して骨造成を行う方法です。

骨がかなり少ない場合にも検討できる

残存骨量が少なく、ソケットリフトでは十分な骨量を確保しにくいケースなどで検討します。

骨がかなり少ない場合には、

サイナスリフト → 骨の治癒 → インプラント埋入

と段階的に行うことがあります。

国際的なコンセンサス(ITI)でも、インプラントの初期固定が得られない場合には、上顎洞底挙上を先行し、あとからインプラントを埋入する二段階法が示されています。


GBR・ソケットリフト・サイナスリフトの違い

方法 主に不足している場所 主な用途
GBR 骨の幅・高さ インプラント周囲の骨造成
ソケットリフト 上顎奥歯の骨の高さ 上顎洞底を下方から挙上
サイナスリフト 上顎奥歯の骨の高さ 上顎洞側方から広範囲に骨造成

ただし、方法は骨量だけで決めるのではありません。CT上の形態、上顎洞の状態、予定するインプラント位置などを総合して決めます。


骨造成をすれば誰でもインプラントができるわけではありません

骨造成には適応があります。

全身状態

治癒能力や手術リスクなどを評価します。

喫煙などの生活習慣

喫煙は骨の治り(治癒)に影響するため、骨造成の結果に関わる要因になります。

感染や歯周病の状態

歯周病や感染がコントロールできていない状態では、骨が安定して治りにくくなります。

骨欠損の大きさ・形態

骨造成は、欠損が大きくなるほど難易度も上昇します。国際的なコンセンサスでも、垂直的な骨造成など難易度の高い骨欠損では、合併症や追加の骨造成が必要になる割合が高くなることが示されています。

したがって、
「骨造成という方法があるから、どんな骨でも作れる」
という話ではありません。


あえて骨造成をしない選択肢もあります

インプラントの位置や設計を変更する

補綴的(ほてつてき:かみ合わせや歯の機能・見た目を回復する方向で)に許容できる範囲で、

  • インプラントの位置

  • 本数

  • サイズ

  • 上部構造(人工の歯の部分)の形態

などを工夫することで、大規模な骨造成を回避できる場合があります。

ただし、これは「骨がある場所に無理にインプラントを入れる」という意味ではありません。

ブリッジ・義歯を選ぶ

骨造成による身体的負担や治療期間を考えると、

  • ブリッジ

  • 部分入れ歯

などの方が適している場合もあります。

「できる治療」と「受けるべき治療」は違う

骨造成を行えばインプラントを入れられる可能性があっても、それが必ずしもその方にとって最良の治療とは限りません。

手術侵襲(手術による身体的負担)、期間、費用、長期的なメンテナンスまで含めて検討します。


骨が少ないと言われたときこそCT診断が重要

通常のレントゲン(歯科用パノラマ撮影など)は、基本的に二次元画像です。CT(CBCT)では、骨を三次元的に評価できます。

CTで確認する主な項目は次のとおりです。

  • 骨の高さ

  • 骨の幅

  • 骨の形態

  • 下顎管との距離

  • 上顎洞との位置関係

  • 隣在歯

  • 根尖病変

  • インプラント予定位置

  • 必要な骨造成量

米国口腔顎放射線学会(AAOMR)は、インプラント予定部位の術前評価に断層画像(CBCT)を推奨しており、骨造成が必要と考えられる場合にもCBCTの検討を勧告しています。


吉備路歯科医院のインプラント診断

CTだけを見てインプラントの位置を決めるのではありません

当院では、

  • CT

  • 口腔内スキャン(IOS)

  • 最終的な歯の位置

を組み合わせて治療計画を立てます。

そして、「骨のあるところにインプラントを入れる」のではなく、「必要な場所にインプラントを入れるために必要な骨量を診断する」という考え方です。

必要に応じて、

CT → IOS → 3Dデータ統合 → 埋入シミュレーション → サージカルガイド

という流れで、精密な診断と治療計画を進めます。

▶【な】何を調べる?インプラントの精密診断|CTだけではわからないこと


他院で「骨が少ないから難しい」と言われた場合もご相談ください

骨が少ない場合でも、骨造成によって治療できるケースがあります。一方で、大きな骨造成を行わない方がよい場合や、インプラント以外の治療方法が適している場合もあります。

まずはCTなどによって現在の骨の状態を確認し、どのような選択肢があるのかをご説明します。

他院での診断や治療計画に迷われている場合は、セカンドオピニオンとしてもご相談ください。


Q&A・よくある質問

Q. 骨が少ないと言われました。インプラントはできませんか?

A. 骨量や骨の形態によります。GBRや上顎洞底挙上術などによって治療できる場合がありますが、CTによる診断が必要です。

Q. 骨造成は必ず必要ですか?

A. 必要とは限りません。インプラントの位置や設計を検討することで、骨造成を小さくしたり回避できる場合もあります。

Q. GBRとは何ですか?

A. インプラント周囲に不足している骨を造成する治療方法です。

Q. ソケットリフトとサイナスリフトは何が違いますか?

A. どちらも主に上顎奥歯の骨の高さが不足している場合に検討する方法ですが、上顎洞へのアプローチ方法や適応が異なります。

Q. サイナスリフトをすると治療期間は長くなりますか?

A. 骨造成後に治癒期間を設けてからインプラントを埋入する場合があり、その場合は通常のインプラント治療より長くなります。

Q. 骨造成は痛いですか?

A. 手術中は局所麻酔を使用しますが、術後には腫れや痛みが出ることがあります。手術範囲によって程度は異なります。

Q. 他院でインプラントは難しいと言われても相談できますか?

A. 可能です。ただし診査の結果、骨造成を含めてもインプラントをおすすめしない場合もあります。

Q. CTを撮れば骨造成が必要か分かりますか?

A. CTは骨の高さや幅、上顎洞・下顎管などとの位置関係を評価するうえで重要ですが、口腔内の状態や最終的な補綴設計なども含めて判断します。


まとめ

  • インプラントには十分な骨量が必要

  • 抜歯後などに顎の骨は減少する

  • 骨不足にはGBR・ソケットリフト・サイナスリフトなどの方法がある

  • 骨造成を行えば必ず治療できるわけではない

  • 大きな骨造成を行わない方法も選択肢

  • CTによる三次元的な診断が重要

  • 最終的な歯の位置から逆算してインプラントと骨造成を計画する

「骨が少ないかどうか」だけではなく、「どこに、どの程度の骨が必要なのか」を診断することが重要です。


参考文献・出典

  • Tyndall DA, et al. Position statement of the American Academy of Oral and Maxillofacial Radiology: selection criteria for the use of radiology in dental implantology. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol. 2012.(AAOMR:インプラント部位の評価に断層画像・CBCTを推奨、骨造成が必要な場合にもCBCTを検討)
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22668710/

  • Chen ST, et al. Consensus statements and recommended clinical procedures regarding surgical techniques. Int J Oral Maxillofac Implants. 2009.(ITIコンセンサス:初期固定が得られない場合は上顎洞底挙上を先行する二段階法)
    https://jmc.gov.jo/sites/default/files/2022-01/immediate%20implantsConsensusstatementsITI2008IJOMIChenetal2009.pdf

  • Jepsen S, et al. Regeneration of alveolar ridge defects. Consensus report of group 4 of the 15th European Workshop on Periodontology on Bone Regeneration. J Clin Periodontol. 2019.(垂直的骨造成など難しい骨欠損では合併症率が高くなる)
    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jcpe.13121


「骨が少ないかどうか」は、撮影と診断でしか分かりません。

当院では、CTによる三次元的な診断をもとに、

  • インプラントができるのか

  • 骨造成が必要なのか、方法は何か

  • 骨造成をしない選択肢はないのか

を段階的にご説明しています。治療を無理に勧めることはありません。

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▶関連記事【な】何を調べる?インプラントの精密診断|CTだけではわからないこと


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監修者プロフィール

吉備路歯科医院 院長 清田章之(歯科医師)

  • 日本顎咬合学会会員

  • 日本臨床歯科学会会員

  • 日本臨床歯周病学会会員

  • 日本口腔外科学会会員

  • 日本小児歯科学会会員

  • 日本スポーツ歯科医学会会員